終わりにした夫婦

···元家族 正基の思い


今日は実家の父に呼ばれていたから
ホテルから直接実家に向かった。

父に言われていた時間より早く
実家についたが
母は、優しく出迎えてくれて
朝ごはんを用意してくれて
父と三人でゆっくり食べた。

母にかわって片付けをしていると
「「「ただいま。こんにちは。
      お邪魔します。」」」
と、三人の声に
母が対応にでた。

私は、そのままみんなの分の
お茶を用意してリビングにいくと
「「「母さん!!!」」」
と、言われて
「少し早くついたから
おばあちゃんの手料理ごちそうに
なったの」
と、笑いながら話すと
三人とも
「そうなんだ。」
「じゃ、早く来れば良かった。」
「俺も一緒に食べたかった。」
とか、言った。

六人で色々話をして
一段落したときに
父が口を開いた。
「先日 正基君が尋ねてきたんだ。」
と、言うと
子供達は、お互いの顔を見合わせて
びっくりした顔をしていた。

私もびっくりした。

あの正基が私の実家に顔を出すなんて
更に父の話は、私達を驚かせた。

正基が、家の処分をしたのは聞いていたが
私に対して詫びて泣いていた・・と
姉がたまたまいて、何か話したみたいだ。

それに·····

正基は、自分だけでは家の管理が
できないからと家を売ったらしい。

それは、正基の両親と話し合った結果
のようだ。
「それで正基さんはどうするの?」
と、訪ねると
年老いた両親を考えて
一時間以内の所に移り住み
「農家の真似事をやってみたい。」
と、言っていたらしい。

正基の退職金はそちらに使い
家と土地を売却したものを
亜子と三人の子供達に
渡したいと父にお願いしてきたと。

「亜子や子供達に
夫らしい、父親らしい事を
何もしてこなかった償いを
少しでもさせて欲しい。」
と、頭を下げていたと父は言った。

父も今更と思っていたが
頭を下げながら頼む正基に
正基の心が、それで少しでも楽に
なるならと思い受けとった
と、話してくれた。

正基の両親もその考えに賛成だったと
私達は、四人で顔を見合わせたが
お互いに頷きながら
父から各々封筒を受けとった。

正基への連絡をどうするかは
各自に任せると父は言った。

正基は、
「何もいりません。
ただ、みんな体に気をつけて
暮らして欲しい。」
と、言って帰っていったよ
と、父は教えてくれた。

その後、私達は6人で昔話をしながら
夕方まで寛いで過ごした。
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