心の中に奏でる、永遠の向日葵


先生とも、面を向かってちゃんと話せないとは、自分で自分が嫌になる。
 

ところが、先生は俺の言ってることをちゃんと最後まで聞き取れたのか、すっと表情が柔らかくなった。
 

「そうか。悪かったな、怒鳴ったりして。職員室はあっちだ、案内してやるよ」
 

先生は、それだけ言うと、俺に背を向けて歩き出す。 
 

俺は、胸をほっと撫でおろし、先生の後について行く。
 

「自分で探すのもいいが、こういうのは誰かに聞くもんだぞ」
 

「す、すみません…」
 

先生の言葉に、俺は小さく謝る。
 

まさか、俺は人に話しかけようとすると声が出なくなる、なんて口が裂けても言えない。
 

心の中で、小さくため息をつく。
 

しかし、先生はそれ以上なにも言ってこない。俺にとっても、そっちの方がありがたいが。
 

そして、しばらく無言の状態が、俺と先生の間に流れていると、綺麗な白いドアが見えてきた。
 

「ここだ」


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