心の中に奏でる、永遠の向日葵

近づく嬉しさ





近づく嬉しさ





金曜日。
 

明日が週末の休みという事もあり、クラスの皆は話で盛り上がっていた。

伊藤、黒西、水田たちは、土曜日も部活があるらしく、あんまり休みも遊べないらしいが。
 

しかし、そんな浮き立つ人々の中で、俺はひとり沈んでいた。
 

てっきり成長しているのかと思っていた。

少しは、感情が持ててるんじゃないかって勘違いしていた。
 

結局、向日葵がいないと、俺はダメだった。向日葵がいたおかげで、俺はピアノに感情を入れれたんだ。
 

放課後、音楽室に行くと、向日葵はいつも通りに、ピアノの椅子に座っていた。
 

俺がピアノに近づくと、向日葵が優しく笑う。
 

「こんにちは」
 
「うん」
 

思わず、不愛想に返事をしてしまった。慌てて、自分の口を押える。
 

「なんか、無愛想」
 

向日葵は、頬をぷくっと膨らませて、子供がものをねだる時みたいな声で言った。
 

「あ、ご、ごめん。ちょっと元気なくて…」
 

そう言って、俺がピアノに座ろうとすると、お腹をぎゅっと向日葵に握られた。


予想もしないところを触られて、ドキッとする。
 

向日葵も、慌てて「わっ」と叫んで、手を離した。


「ご、ごめん!てっきり腕をつかんだと思ったら、全然違うところ掴んでた!」
 
「あ、いや、それは全然いいんだけど…」



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