心の中に奏でる、永遠の向日葵
こうなると、両親はつくづく俺を信用しているんだなと思う。
いや、信用だと何だか肯定の意味っぽくなってしまう。どっちかというと、俺をなめてる、と言った方が正しい。
いや、もう両親の事を考えるのは止めよう。余計に罪悪感が生まれるから。
そう思って、俺はふと気付いた。あんな両親にも、俺は罪悪感を持てるんだ、と。
俺は歩き出す。散歩している老夫婦とか、動きやすそうな服を着てランニングしている男の人とか、典型的な平和の朝が、そこにはあった。
そういえば、こんな風にのんびりと歩くのは、登校や下校の時を抜いたら久しぶりかもしれない。
休みは、予定がなかったらずっとピアノの練習にあててたし、そうでなくても勉強とか、とにかくあんまりのんびりと外に出た思い出がなかった。
新鮮、という言葉をこの前も使ったが、この状況も新鮮という言葉が、一番当てはまっているだろう。
向日葵の家に着くと、前回同様チャイムを鳴らし、「はーい」という向日葵の声が返ってきた。
朝からこんなことに付き合わせてしまい、申し訳ないような、逆に朝から向日葵といれるんだ、と嬉しく思ったりと、我ながら自分勝手な気持ちだと思う。
「よかったー。怖気づいて来なかったらどうしようかと思った」
「まさか。楽譜をゴミ箱に捨ててきてやったよ」
「ああ、やっちゃったねー。ベートーベンに怒られるよ。あと、滝廉太郎にも」