心の中に奏でる、永遠の向日葵
そして、二人で歩き出した。
どこに行くかは聞いていないが、なんとなくこの前のひまわり畑だろうと思い、そこについては何も聞かなかった。
白杖を前で叩きながら、時折自転車に当たると、「こんなところに置かないでよね」と、少し横に避けてまた歩き出す。
もう向日葵と歩きすぎて、白杖をついて歩いている向日葵の事をどうとも思わなくなってしまったが、改めて見るとやっぱり不自由だなと思ってしまう。
不自由だなと思ってる時点で、それは向日葵の事を見下しているという事。
それでも不自由だなと思ってしまう、情けを向けてしまう。
それは、この前この道で出会った、あの不愛想なおばさんたちと、何も変わらないのかもしれない。
「それにしてもさ、やっぱりエスケープって気持ちいいよね!」
俺の思ってることなんてつゆも知らずに、向日葵が明るい声でそんなことを言ってくる。
でも、俺は「うん!」と、力強く同調はできなかった。
「はは、どうかな。エスケープって言ったら、なんだかどっかの物語の青春っぽい感じだけど、実際逃げてきただけだからね」
「エスケープって英単語だから?結構響きよく聞こえるもんねぇ」
そこでケラケラと笑うから、「俺もそう思う」と笑った。