心の中に奏でる、永遠の向日葵


やっぱり目が見えなくても、ここまでのものだと分かるんだ、と心の中で母さんの恐ろしさに改めてひれ伏す。
 

誰も言葉を発しない。父さんは困ったように、俺と母さんを交互に見つめた。

また、時折向日葵も見ては、「だれ?」と言わんばかりに、まじまじと向日葵を見つめる。
 

でも、母さんは向日葵の方なんか見ていない。見るはずがない。

無言のまま、俺を見下ろし続ける。俺は怖くて、母さんを見上げれなかった。目を見ることが出来なかった。
 

「…コンクールをサボってまで、友達と遊びに行った感想は?」
 

冷酷で、人を闇の底まで叩き落す口調。こんな声を聞いたのは、久しぶりだった。
 

返答なんかできるわけない。

ちょっとでも気を抜いたら、きっと走り出してしまうこの足に力を集中させるのが、今の俺にできる精いっぱいの事だった。
 

母さんは、それ以上何も言ってこない。でも、あの恐ろしい声が、俺の頭の中でリピートされる。
 

無理だ。こんな恐ろしい人に立ち向かおうとした、俺が間違っていたんだ。
 

俺を操っている。親の心を持っていない。
 

心の中で罵倒することはいくらだってできるけど、いざとなったら俺は何も言えない。

だって、怖いんだから、恐ろしいんだから。


結局、俺はそれっぽっちの人間でしかないんだ。

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