心の中に奏でる、永遠の向日葵
放課後、俺は教室を出ると、少し授業が早めに終わったため、向日葵を迎えに特別クラスまで行くことにした。
この前、一回だけ特別クラスに行ったきり、俺は行っていなかった。
突然迎えに行ったら、向日葵はまた驚くかな、と少し楽しみにしながら、階段を下りて一階の廊下を歩く。
教室から誰かが出てきた。こっちに向かって歩いてくる。この前見た、耳の聞こえない男の子だった。
俺は、この前みたいに、とりあえず頭を下げるだけ下げておこうと思って、お辞儀をした。
ところが、俺が顔を上げると、男の子は突然俺に駆け寄ってきた。
きゅ、急になんだ?と固まりながら、俺よりも少し背が低い男の子を見下ろしていると、彼はバックから紙とペンを取り出して、何かを書き始める。
『向日葵さんと、仲がいいんですか?』
紙にはそう書かれていた。俺は、素直に黙って頷く。
すると、男の子はまた何か書く。
俺も、どういうことなのか、と何かに書いて聞こうとしたが、それよりも早く男の子は紙を俺に差し出した。
『向日葵さんとは、仲良くしない方がいいです。』
…え?
思わず目を見張って、衝撃的な文章を見つめていると、男の子は逃げるように俺の横を通り抜けて、走り去ってしまう。
「ちょ…」
呼び止めようとするが、彼は耳が聞こえないんだから、今さら叫んだってどうしようもないか、と途中で声を出すのをやめた。