心の中に奏でる、永遠の向日葵


白い旗が二本上がり、勝負あり。


…つまり、水田の勝ち?
 

「お、おい、水田の勝ちか、これ?」
 

俺が慌てて二人に聞くが、二人とも、よくわからないようで、首を傾げる。
 

すると、一人の男の人がトーナメント表に近寄り、水田の対戦相手の名前を消すと、水田の線を上につなげた。
 

つまり、水田が勝った、という証拠だ。
 

「やったー!水田、準々決勝進出!」
 

伊藤が叫ぶ。が、周りの人に嫌な目で見られてしまい、慌てて伊藤を椅子に座らせた。
 

「うるさいな!あんまり騒ぐなよ」
 
「だって、水田が勝ったんだぜ。これで喜ばないことはないだろ!」
 

…確かにそうだ。
 

いや、水田は勝って当たり前だ。
 

大量のマメや、痛々しい痣。厳しい怒号に、夜九時までの練習。
 

なにもかも、勝つためにやってきたことだ。

そのために、水田はきっと、誰よりもずっと努力しているはず。
 

だから、勝って当たり前なんだ。


そのまま、しばらく黒西と伊藤と共に雑談していると、すぐに水田の二回戦がやってきた。
 

「二回戦の相手は、葛城元久(かつらぎもとひさ)。三年生で、去年は二年生ながらにして、全国大会に行ったそうよ。今年も、優勝候補らしいわね」
 

黒西が、パンフレットを見ながら説明する。


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