心の中に奏でる、永遠の向日葵


「たぶん、制限時間が過ぎたから、先に一ポイント取った、水田が勝ったんだよ」
 

「ああ、確かに!それだよ」
 

黒西も賛成してくれる。しかし、伊藤は相変わらず険しい顔をしていた。
 

「全く言ってることが分かんねえけど…。ま、とにかく水田の勝ちって事だろ?よっしゃあ、水田準決勝進出!」
 

結局、伊藤は理解することはなく、ただただ水田の勝ちに喜んでいる。


俺は、黒西と目を合わせ、苦笑しながら首を横に振った。
 

しかし、優勝候補の相手を倒すとは、中々の異例だろう。やっぱり、水田の努力の結果が出ているのだ。
 

そう思うと、なんだか無駄に自信が出てきた。


きっと水田は、全国大会に行く。俺たちも、応援に行けるだろう。
 
だって、水田は頑張ったのだから。間違いない。絶対に優勝する。
 

それから、八回の準々決勝が行われた。剣道の事は全く知らないが、なんとなく全体的に、レベルが上がっているのは確かだった。
 

そして、勝者四人が決まった。


「次の水田の相手は、初出場の、榊原太一(さかきばらたいち)。私たちと同じ二年生ね」
 

黒西が再び説明してくれる。
 

さっきの優勝候補に勝てたんだ。きっと、このまま準決勝も勝てるだろう。
 


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