心の中に奏でる、永遠の向日葵
そして、いつの日か、優勝なんてチョロい、と考えていたんだ。
いや、考えてはいなかったかもしれないけど、とにかく優勝というものが、当たり前になっていたのだ。
でも、きっと俺が優勝している中で、泣いて悲しんでいる人だっていただろう。
もしかしたら、俺なんかよりもはるかに練習していて、それでも優勝できなかった人だっているかもしれない。
どんなにボロボロになっても、頑張って練習し続ける、水田のように。
だったら、俺はそんな努力している人たちを、踏みにじむ分類の人間なのかもしれない。
優勝なんて当たり前だ、と言って、平気で人の心をぶち壊す、そんな最低の分類に入る人間。
「あ、いたいた!おーい、黒西、伊藤、空川!」
明るい声に、俺の思考が止まった。汗だくになり、私服に着替えた水田が、俺たちに駆け寄ってくる。
「お、水田!試合見たよ。すごい良かったな!」
いつもの明るい伊藤に戻っていた。水田は、照れたように頭をさする。
「あはは、ありがとう。まあ、結局負けちゃったんだけどね」
「でも、あれは掛け声の問題でしょ?」
黒西が素早く水田に聞いた。
「うん、まあね。でも、実力だけじゃなくて、そういう表現力も、剣道では大切でね。だから、僕は完敗。相手の勝ちなんだ」
小さく笑っていたが、やっぱりどこか悲しそうだった。