心の中に奏でる、永遠の向日葵
行きは、多分興奮していて気づかなかったんだろうけど、向日葵の手は、目で見る以上に、骨ばっていた。
細くて、俺がすべての力を出して握ったりでもしたら、ポキッと折れてしまいそうなくらい。
外に出ると、暗がりの中にいた向日葵が、太陽の光のおかげでしっかりと見えた。
体も、なんだかひどく細く感じた。
花柄のワンピースの下から覗かす足は、本当に骨同然だ。冗談抜きに、大げさとかでもなく、事実だ。
あんまり食べないのだろうか?いや、でもこの前、向日葵の家でご飯を食べたときは、向日葵も普通に食べてたし。
じゃあ、なんでこんな、病人みたいに…。
チリンチリン!
突然、甲高いベルの音がした。目の前を、自転車が高速で走り抜けていく。
「っわ!あっぶなぁ」
驚きのあまり、向日葵の手を、少し乱暴に引っ張ってしまった。
…しまった。あともう少し遅かったら、二人ともあの自転車にぶつかっていた。
俺が向日葵と手を繋いでる一番の理由は、俺が白杖代わりになるためなのに。これじゃ、手を繋いでいる意味がない。
「ご、ごめん、向日葵。大丈夫か?」
向日葵も、突然の事に驚いているのか、俺の質問を返すのに、数秒の空きが出来た。
「…う、うん。ああ、怖かった」
「ごめん。ちょっと考え事してて…」
改めて謝ると、向日葵は何でもない事のように、首を横に振った。