心の中に奏でる、永遠の向日葵



放課後。クラスの皆が部活に行く中、俺はカバンを見つめながら悩んでいた。
 

ちゃんと、向日葵に謝るべきか否か。
 

『あんたが謝れば、意外と許してくれるかもね』
 

黒西はああ言ってたけど、本当にそうなのか?いや、それは黒西にだって分からないか。

黒西だって言ってたけど、向日葵にしか向日葵の気持ちは分からないのだから。
 

考えてみれば、俺が向日葵に怒鳴ってしまったのがいけないのだ。


でも、『分かり合えない』『ほっといて』なんて、冷たい言葉を使う向日葵も向日葵…。
 


…いや。待てよ。そもそも、向日葵は、あんなに怒りっぽい性格だったか?

いつも明るくて、偏見の視線を浴びても、『仕方がない』と言っていた笑っていた彼女が、そんな簡単に怒るものなのか?
 

俺は、まだ表面的でしか、向日葵を理解していない。

俺が思ってるよりも、向日葵は何か深刻な悩みを、抱えているのではないだろうか?
 

どんなに努力しても、どうにもならないことはある。
 

向日葵らしくない言葉だ。やっぱり、あの時そこに突っ込んでおけばよかった。
 

それに、俺だって最低だった。


思わず俺が怒鳴ったとき。
 
俺は、向日葵の事なんて、考えていなかった。いや、考えてたかもしれない。

でもそれ以上に、不審な態度を取り続ける皆に、俺は突き放されているんじゃないか、だったら突き放されたくない、そう自分勝手に思う自分がいたんだ。



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