心の中に奏でる、永遠の向日葵
「ひまわりってね、いつも太陽の方を向いて、いつも太陽と向かい合ってるの。だから、サンフラワーって呼ばれてるんだ」
向日葵はそこで、また満面の笑みを、ひまわりのような笑顔を俺に向けた。
「だから私は、向日葵なんだ」
向日葵の言葉の意味が分からなくて、俺は何の返事もしなかった。
だからってどういう意味なのだろう?
『ひまわりは、いつも太陽と向かい合ってるの』
『日向君は、太陽みたいに優しくて温かいよね』
え?そ、それは、つまり…。
「向日葵、それってさ…」
「向日葵!迎えに来たわよ!」
俺の言葉を見事に遮って、後ろから大声が聞こえてきた。
慌てて後ろを振り返ると、そこには大きな黒い車に乗った、向日葵のお母さんが、窓から手を振っている。
「あ、お母さん来たみたい」
向日葵は、白杖を持って立ち上がった。
俺は、がっくりと肩を落としながらも、見送るために、向日葵と一緒に歩く。
「あら、向日葵と一緒にいてくれたの?ありがとね」
向日葵のお母さんがお礼を言ってくるので、俺は頭を下げる。
「じゃあ、日向君、また明日ね」
「ああ。体には気を付けて」
向日葵は、白杖を折りたたんで、バッグの中に入れた。
…ん?バッグ?
俺が慌ててバッグの中を見ると、向日葵に渡す予定だった、CDプレイヤーが入っている。