心の中に奏でる、永遠の向日葵
すごい。一切自分の指を見ずに、ここまで完璧に弾きこなすとは。
神業としか、言いようがない。
やがて演奏が終わった。
女の子は、満足そうに上を向いて、微笑んだ。
「すごい演奏だね」
「きゃっ!」
俺が演奏の感想を言った瞬間、女の子は後ろに倒れてしまった。
え?そんなに、驚いくものか?
「あ、ご、ごめん。驚かせちゃった?」
俺は彼女に手を差し伸べた。
「ううん、大丈夫だよ。まあ、驚いたことに対しては、否定しないけど」
彼女はそう言って微笑むと、俺の手は取らずに、横にあった白い杖を使って立ち上がる。
あれって確か…。
朝の中庭での出来事が、頭の中に蘇る。
そっか。あの時見た、妙に気になった女の子は、この子だったのか。
彼女は、杖を叩きながら、歩いていく。彼女の瞳は、前を見つめていなかった。