心の中に奏でる、永遠の向日葵
こっそりと、声を潜めながらも、いたずらっ子のように笑う黒西。
「おーい、黒西!早く戻れ!」
体育館の裏口から、小島先生の大きな声がした。黒西は、「はーい」と言って、俺に手を振る。
「じゃ、終わったら感想聞かせてね」
黒西は、それだけ言うと、俺に背を向けて走り出す。
『好きだよ』
また、黒西のあの言葉が蘇る。
俺は、走っていく黒西の後ろ姿を見た。
…そうだ。忘れてた。
俺はまだ、黒西に一番伝えなくてはいけない言葉を伝えていなかった。
言わなくちゃいけなくて、俺が言いたい言葉。
黒西の背中に、俺は声を張り上げた。
「黒西!ありがとな、俺なんかのこと、好きになってくれて!」
黒西は立ち止まって俺を振り返った。
一瞬、ポカンとしていたが、すぐにニッコリと笑うと、俺に手を振って再び走り出した。
俺も、手を振り返した。黒西が、裏口に入って見えなくなっても、俺は手を振り続けた。