心の中に奏でる、永遠の向日葵
「そうだよ。目は見えないけど、耳コピでピアノを弾いてるんだ。一応、絶対音感あるからさ。結構、楽しいよ」
絶対音感。音を聞いただけで、それの音階が分かる能力。
その能力が、高ければ高いほど、曲を聴いただけで、楽譜を見ずに、ピアノで弾くことが出来る。
「すごいな。俺も絶対音感は持ってるけど、曲をコピーする気にはなれない」
俺がポツリと呟くと、女の子はまた明るい笑みと、少し驚いたような表情を浮かべて、こっちを振り向く。
「え?君も、ピアノ弾けるの?へえ、私とおんなじだね!」
「え?あ、うん、まあ…」
この子、俺のことを知らないのだろうか。
『天才』という名のレッテルを、俺に貼っている人のような、きつい冷たい態度や視線は、その女の子からは感じなかった。
「すごいすごい!ねえ、弾いてみてよ!」
女の子は、俺の腕を取ると、まるですべて見えてるかのように、俺をピアノの椅子に座らせる。
「ほら、弾いてみて!」