心の中に奏でる、永遠の向日葵


じょじょに、音を大きくする。それと同時に、俺の心の中は、真っ白になっていく。
 

何も見えない。鍵盤と指、そして音しか、今の俺の世界には存在しない。
 

そして、また序盤と同じ音。しかし、今度はさっき以上に、音を大きくする。
 

クライマックスに突入だ。最後の高速階段。両方の手を、高速で高い音から低い音に動かしていく。
 

力を入れて、自分の指と、押されていく鍵盤を見続けた。
 

そして、最後の一音を押す。
 

俺はゆっくりと手を鍵盤から離した。本当はもっと長いのだが、これで十分だろう。
 

パチパチパチ
 

女の子が、横から拍手をしてくれた。
 

「すごい。そこまで指が的確に動くのはすごいよ。強弱もばっちりだし」
 
「ありがとう」
 

一応お礼は言うが、あんまり嬉しいものではない。もう何回も褒められているから、はっきり言って聞き飽きていた。

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