心の中に奏でる、永遠の向日葵
俺は、自分の手を見た。何も感じない。静かに、指を折り曲げる。
ポロン
女の子が、横で一音鳴らす。見なくても、それがミの音だという事は分かった。
「…君の演奏は素晴らしかったよ。でも...音は幸せそうじゃなかったな」
「え?」
突然の批判に、俺は虚を突かれた。
「君、ピアノ好きじゃないんでしょ?」
図星の質問に、俺は声が出なくなった。
でも、『ピアノ好きでしょ?』と言われた時みたいな、あの動揺は感じなかった。
ピアノ好きじゃないんでしょって言われたことではなく、彼女があまりにも鋭すぎることに、声が出ないのかもしれない。
俺は、ふっと小さく息を吐くと、女の子には意味のないことだとは思うが、一応女の子と目を合わせた。
「あ、いや、うん…。俺、ピアノ好きじゃないんだよ。親にずっと練習させられていたから、むしろ嫌いなんだ」
すると、女の子は何かを考えるように俯いた。