心の中に奏でる、永遠の向日葵
何を言われるんだろう。
女の子は顔を上げると、目線はやはり俺の目を見ていないが、見えないはずの俺の顔を真っすぐ見た。
「違う。君は嘘をついてる」
…嘘?
女の子は、今度は和音を奏でる。ドミソを一緒に鳴らした音だ。
「もしも、君が本当にピアノの事を嫌ってるなら、君の音は悲しみや怒りの音になってるはず。でも、君の音から、私は何も感じなかった。全てをあきらめた、真っ白な音だった」
真っ白な音、か。
俺は、鍵盤を見つめると、手を鍵盤の上に置いた。でも、音は奏でない。
「君は、すごいね。占い師みたいだよ」
俺が目を細めながらそう言うと、女の子はまた子供のような屈託ない笑みを浮かべる。
「えへへ。目が見えないから、その分耳はいいんだよ。たまに普通の人間じゃないって言われることもあるんだから」
女の子は、耳を自分の手にくっつけ、楽しそうに体を揺らした。