心の中に奏でる、永遠の向日葵



俺は、言葉に詰まった。
 

確かにそうかもしれない。
 

今は高校生だから褒められるけど、プロのピアニストになったら、完全に演奏家の一人だ。誰もきっと、高校生だからとひいきして見てはくれなくなるだろう。
 

その時、俺の弾き方がばれたら?感情をなくして弾いてるってバレたら?
 

金を出してまで聞かなくてもいい。機械に弾かせればいい。そういって、離れて行ってしまうのではないだろうか?
 

鍵盤の上に置いてあった俺の手が、小刻みに震え始めた。
 

未来への恐怖が、俺を襲ってくる。
 

「…三カ月、私にくれないかな」
 

女の子がポツリと呟いた。
 

「え?」
 
「三カ月。その間に、君のピアノの音に、感情を入れてあげる」
 

俺は、慌てて首を横に振った。
 

「む、無理だよ!俺、もうずっと感情なしでピアノを弾いてるんだ。いまさら…」
 
「お願い!君、技術はすごいんだから、感情をいれたらきっとすごいピアニストになるはずなんだよ!」


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