心の中に奏でる、永遠の向日葵


俺がピアノが好きじゃないって話したとき、小島先生はそんなことを言っていた。

あの時は聞きそびれてしまったけど、あれは一体、どういう意味だったのだろう?
 

いや、意味は分かる。俺がピアノが好きじゃないと言った後に、そう言ったんだから、小島先生にも音楽が嫌いだった時期があるという事だろう。
 

だったら、どうして今、小島先生は音楽教師なんてやってるんだろう?
 

違う。正確には、どうして音楽教師を”やれているんだろう”、だ。少なくとも、今の小島先生の姿からは、俺と一緒のオーラを感じない。
 

「えー、今日から通常授業が始まるので、気を引き締めるように…」
 

小島先生の話が始まっても、俺は話を聞かずに、ぼーっとそんなことを考えていた。


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