心の中に奏でる、永遠の向日葵

悪魔のピアノ




音楽の授業中、先生が言ってることの内容なんか、まったく入ってこなかった。
 

ただ、考えていた。
 

ピアノを弾いているとき、一度真っ白になった俺の心に、何かが浮かぶことなんてなかったのに。

向日葵の言葉が蘇ってきた途端、次々と悪夢みたいなイメージが、俺を支配した。
 

今まで、絶対そんなことなかったのに。
 

音も消えて、指もどこを動いているのか分からなくなって、全部がなくなっていく。
 

どうしてなのか?理由もまるで分らない。 
 

これまでも、『弾いて』と言われても、なんとか弾けていた。


それなのに、なんで、急に…。
 

そんなの、向日葵に言われたから。でも違う、そうじゃないんだ。
 

何かもっと、ほかに…。
 

「起立。気を付け」


 学級委員の号令に、俺は慌てて席を立つ。
 

「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
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