心の中に奏でる、永遠の向日葵


俺は、来た道を戻ろうと、体をくるっと回転させる。
 

すると。
 


カタン
 


何か固いものが、コンクリートの床に落ちるような、乾いた音がした。
 

誰かいるのか?
 

俺は、顔だけを、再び中庭に向けた。
 

さっき、というか、数十秒前まで誰もいなかったベンチに、誰かが座っていた。
 

顔は遠すぎてよく見えないが、髪を胸の辺りまで伸ばしているから、女の子だろう。
 

そして、横には白い杖が置いてある。きっと、あれがさっきの音の正体だろう。
 

足でも、悪いのだろうか?
 

俺は、まじまじと女の子を見つめる。
 

なぜかは分からないが、気になってしまう。だいたい、こんな早くから中庭になんて来るものか?それとも、サボりとか?
 

頭の中に、思考がたくさんよぎる。
 

「おい」
 

女の子をまじまじと見つめていたせいだろう。突然の声に、俺は肩をびくっと震える。


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