心の中に奏でる、永遠の向日葵


「いつものように、心が真っ白になっていった。なのに、その瞬間、向日葵の言葉が聞こえたと思ったら、俺のピアノを聞いてくれていた観客たちが、皆会場から出ていく様子が、頭に浮かんだんだ」
 

向日葵が、自分の手を強く握りしめるのが、遠くにいた俺からも見えた。
 

「感情を入れずに弾いてるピアニストのピアノなんか、聞きたくないって、観客たちが出ていくんだ。その様子が浮かんだ瞬間、ピアノの音も聞こえなくなっていって。そしたら、自分の指がコントロールできなくなって、悪魔に憑りつかれた人みたいって、クラスメイトに言われた」
 

俺はそこで一息つくと、窓の外の景色に、目を向けた。
 

どこまでも広がっている青空、でも少し薄い茜色に染まる西の空、ゆっくりとなびく綺麗な入道雲。
 

思わず、目を細めた。
 





「よかったね」
 


黙っていた向日葵が、予想外の言葉を口にした。



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