心の中に奏でる、永遠の向日葵



ここまでいろいろ通り過ぎた答えを聞くと、なんだか聞いて申し訳ないという気持ちが、なくなっていく。
 

そのまま階段を降りると、俺は二年生用の下駄箱に向かった。でも、向日葵は違うところに向かう。
 

向日葵は、俺の下駄箱の斜め後ろの下駄箱から、靴を取り出した。
 

上を見ると、『特別クラス』と書かれたプレートが上に載っている。
 

「やっぱり、特別クラスに行ってるのか?」」
 
「うん。盲目だから、通常の授業にはついて行けないの。本当は、君と同じ二年生なんだよ」
 

向日葵は靴に履き替えると、そのまま歩き出す。

俺も、慌てて向日葵の後に続いた。
 

思えば、今までこうやって杖を使って歩いている盲目の人って、見たことなかった。
 

というか、人生の中で、盲目の人とかかわる瞬間が生まれることすら、想像していなかった。


「日向君はさ、やっぱりピアニストになりたいの?」
 

しんとした空気に、向日葵が声を出した。



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