この瞳だけを見て




それからまたある日の事。


黒板掃除をしていると、上の方が届かず一生懸命背伸びをして黒板消しをしていた。


その時、列のプリントを集めて教卓にまとめて置いていた小西くんが目の前で背伸びをしながら必死に消そうとしている祐奈が視線に入った。


するとサラっと黒板消しを手に取って消すのを手伝ってくれたのだった。


横に誰かが立ったと思い、振り返ると小西くんで少しビックリした。



「ありがとう」


「これくらい全然いいよ」



彼はそう言うと、奥二重気味な二重の目とぷっくりとした涙袋がなんといっても特徴的。


笑うと目がクシャッと細くなり、更に口元は広角を上げて白く綺麗な歯並びを見せた。


これをキラースマイルというのだろうか。この笑顔を見ると幸せな気分に自然となってしまうのだ。





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