この瞳だけを見て




初めて智哉の一人暮らしの家に上がった。


「なんか汚くてごめんね」と智哉は言うのだが、手が届くところに埃一つない。


さすがだ。想像とは違い綺麗に整理整頓されていて几帳面さが伺え、感心してしまう。


しかし感心していたのは束の間で、サークルメンバーとの飲み会で話していた時の話題が、まだどこか胸に引っかかっている。


祐奈はずっと何か言いたそうな顔で智哉を見つめた。


そして数分後に智哉は「ねぇ〜ねぇ〜俺なんかしたー⁇」と私の様子に気付いたのか、少し落ち込んでいるよう。


見ていて可愛すぎたので、自分がやっている事が情けなくなって正直に話す。



「さっきサークルのみんなが言ってたけど、私の知らないところで智哉はモテてるんだなーって笑」



そしたら「ちょっと酷いよ〜⁉︎それ、こっちのセリフなんだけど笑」と言い、ニコニコしながらギューってしてくる。





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