この瞳だけを見て
ドライヤーで髪を乾かしながら、「祐奈って髪サラサラだよねー」と智哉はボヤくが、ドライヤーのモーター音で全く声が聞こえない。
「えっなんて言ったの⁇」
祐奈は後ろを振り向くと、智哉は祐奈に近づき頬にキスを落とした。
祐奈の頭の中は真っ白状態。何が起きたのか分からずキョトンとした顔で、キスされた頬を手でなぞる。
「ほら、前ちゃんと向いて‼︎乾かせないじゃん」
してやったり顔の智哉はニヤニヤしながら髪を乾かす手を動かす。
シャンプーは俺がいつも使っている物なのに、普段よりもいい匂いに感じる。
「はい、終わったよ‼︎」
櫛を通し終えた後、ドライヤーの電源を切った。
「あ〜気持ちよかった。ありがとう‼︎人からドライヤーで髪の毛を乾かされると眠くなっちゃうんだよねー」
祐奈が手櫛をしながらあくびをしていると、智哉が後ろからバックハグをしてきた。