この瞳だけを見て




「今日のお昼ご飯の話してたの。小西くんはお弁当?」


「いや、今日は売店でパン買おうかなって。あそこのカレーパン好きなんだよね。この間最後の一個を原さんに譲ったから、今度こそ食べたいんだよね」



あ〜だからか、祐奈があんなに嬉しそうにしていたのは…


これで関谷くんの勘は当たったというわけか。


茉侑はそう心の中って思いながら、視線を小西に移す。



「あの時、祐奈嬉しそうだったよ。小西くんって優しいんだね」



そう言って茉侑は自分の席に戻って行った。


そんな茉侑の後ろ姿を見届けながら、関谷はこう思った。


さっきまで心を読まれたような気持ちだったけど、そうじゃない。






【 回想 】


「ねぇそれってさ…『嫉妬』なんじゃない?」


「嫉妬⁉︎俺が?」


「仲良い人を取られるみたいな気持ち。自分の事、構ってくれなくなるんじゃないかっていう不安とかさ」







もしかして富沢もそうなんじゃないかとふと思ったんだ。


全然人のこと言えないじゃん…


似たもの同士ってわけだな。





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