この瞳だけを見て



✳︎ ✳︎ ✳︎



まず教室で1人勉強しながら両耳にイヤホンをしていた関谷に教卓から声をかけてみた。



「関谷くん‼︎」



案の定、茉侑の声に気付かない。


じーっと見つめた上でもう一度名前を呼ぶ。



「関谷‼︎」



廊下で隠れて聞いていた祐奈は『まさかの呼び捨て⁉︎』と小声でクスッと笑っていた。


すると関谷はスッと前を向いた。目の前には茉侑がいて、首を傾げながらニコッと微笑んでいる。


関谷は両耳からイヤホンを外した。



「ん?なんか俺呼んだ⁇」



聞こえていないはずなのに、やはり察しがいいのか⁉︎



「ううん、呼んでみただけ‼︎」


「呼んだだけかい⁉︎」



名前を呼んだだけなのに、クスクス笑う茉侑を見て



「富沢がなんかおかしいぞ⁉︎」と、関谷は周りを見渡してキョロキョロし始めた。



やっぱり私の勘違い、思い込みなんじゃないかと思ってしまった。



だって好きな子じゃないと、ちょっかい出したりしないと思うんだけどなぁ…





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