この瞳だけを見て
長い長いキスの後、唇が離れてつぅ、と舌から糸が伸びると、艶やかな目でこちらを見て笑ういつもとは違う智哉。
「いこっか、」と軽々お姫様抱っこされ、寝室へと運ばれる。
ベッドに仰向きで倒され、祐奈の足元で膝を突き呼吸を整えていた智哉に不意に声をかける。
「ねぇ、私達が初めて話をした時のこと覚えてる?」
「ん⁉︎あ〜売店でのパンの譲り合いしたこと?あれは偶然じゃないよ?」
「えっ…偶然じゃないの⁉︎」
「うん。偶然だと思ってたの?祐奈の好きなパン知ってたし、仲良くなる接点を持つ為の口実だった」
「初耳だった⁉︎衝撃的事実だ…」
思わずビックリして言葉を失う祐奈に対して、智哉はクスッと笑いながら、祐奈の頬に手を添えた。
「これからはずっと俺だけを…この瞳だけ見て欲しい」
頬に添えられた暖かい手を握り返し、祐奈はすっと目を瞑る。智哉も祐奈の表情を見て一瞬表情が緩くなり、優しいキスをする。
まだ夜は始まったばかりだ。
私は君の笑顔をこれからもずっと見ていたい…
〜END 〜