この瞳だけを見て




「しっかり捕まっててね」



自転車は前へ前進していく。


腰回りに腕を回している状態なので、距離が近くて不覚にもドキドキしてしまう。


小西くんからはシーブリーズのいい香りがする。少し汗をかいてもいい匂いがするのは何故?



「試験前に俺が言ってた事、覚えてる?」


「えっ?えっと…試験後に食べたいもの⁇」


「そう、正解‼︎」



自転車を漕ぐ小西くんの声が後ろに座る私に届きづらくて、緊張も相待って耳に届かない。


そんなこんなで、学校から少し離れた駅の近くのコンビニで自転車は止まった。



「ちょっと待ってて‼︎すぐ買ってくるから‼︎」



祐奈は自転車を降りて立って待つこととなり、小西くんはニコニコしながらコンビニに入って行った。


小西が真っ直ぐ歩いて向かった先は、アイスクリームがある冷凍食品コーナー。


沢山種類がある中、迷わず冷たいアイスに手を伸ばした。





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