この瞳だけを見て
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体育祭の予行練習が終わり、生徒達が校舎に戻って行く中、祐奈は自動販売機前で飲み物を買っていた。
すると背後から「お疲れ」と声をかけられ、後ろを振り返ると小西くんが首にタオルをかけて汗を拭きながら現れたのだ。
「お疲れ様‼︎飲み物買いに来たの?」
「うん、まぁね」
祐奈は右手に持っていたスポーツドリンクのペットボトルを一度見て、そのまま小西くんの方へ腕を伸ばす。
「ちょうど良かった。はい、あげる。安心して!まだ開けてない新品だから」
「えっいいの?貰っても⁉︎」
「うん、この間のアイスのお礼まだ返してなかったから」
「じゃあ遠慮なくいただきます‼︎」
祐奈が持っていたペットボトルを受け取り、キャップを外してぐびぐびと飲み始めた。
スポーツドリンクが似合う…
って見惚れていた自分に気付いた祐奈は、思わず首を振った。