この瞳だけを見て




祐奈の異変に気付いた小西は、顔を覗き込む。



「どうしたの?」


「いや、何でもない」



はぁ…と溜息をつきながら、祐奈は自動販売機で同じスポーツドリンクを買っていると、急に首元にひんやり冷たいものが当たり、「うわ!」と声が出て不意を突かれてしまった。


その冷たいものというのは、さっき渡したペットボトルだった。


祐奈の反応を見てハハハと笑う小西に対して、祐奈は小西の肩を軽く叩いた。



「急にやめてよ!ビックリするじゃん‼︎」


「ごめんごめん‼︎」



反応を見て遊ばれてると思いつつ、小西くんの笑顔を見ると、つられて笑ってしまう。


やられてばかりではつまらないと仕返しに、祐奈も買ったばかりの冷えたペットボトルを小西の腕にくっ付けた。



「冷たっ‼︎」


「はははっ‼︎仕返しだぁ〜」



小西くんが逃げ始めたので祐奈も後を追い、肌に冷たいペットボトルをくっつけようと試みる。





< 32 / 136 >

この作品をシェア

pagetop