この瞳だけを見て




「なんか青春ぽくない⁉︎」


「確かに‼︎」



流石に小西の首元までは、身長が足らず腕が届かないので諦めた。


これがよくCMとかドラマとか少女漫画で言われる『青春』なんだろうか。


それとも暑さと疲れで、頭がおかしくなったのだろうか。



✳︎ ✳︎ ✳︎



ジュースを飲み一息ついた頃に「じゃあ私、先に教室戻るね」と小西くんに一声かける。


歩き出した祐奈を見た小西は、「原さん‼︎」と呼び止めた。


呼び止められた祐奈は、後ろを振り返る。



「何?どうしたの⁉︎」


「俺を見てて欲しい」


「えっ⁇なんて?聞こえない‼︎」



少し2人の間に距離があったので、声が届かず思わず聞き返して、再び小西くんの方へ近付く。



「いや、いいや‼︎」



そう言って反対側の校舎側へ行ってしまった小西くんを見て、祐奈は首を傾げ再び歩き出した。





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