この瞳だけを見て




「みんな痛い右腕掴むなよ〜」


「他に誰が掴んだの?」


「さっき、原さんにも掴まれたんだよ」



小西は「へぇ〜」と言い、関谷の腕を離して持っていたプリントを渡した。



「はいこれ、俺次の競技出るから後はよろしく‼︎」


「何に出るんだったっけ?」


「借り物競走」


「何で智哉が出るんだよ⁇確か…」



関谷は疑問に思い、渡されたプリントをめくり、出場選手を確認する。借り物競走の出場選手の欄に小西の名前はない。



「小田が出るはずじゃ…」


「賢人が来る前に小田が体調悪いから代わってって言われたんだ。名簿書き直しておいて!先生には伝えてるから」



サラッと言うと、入場門の後方へ並び始めた。



✳︎ ✳︎ ✳︎



「借り物競走の選手、入場です」



アナウンスが流れて、列を成して駆け足で運動場に入っていく。


列の中には小西がいて、それに気付いた女子生徒が「ねぇ、小西くんが出てるんだけど」と1人が言うと周りも騒ぎ始め、応援席の前方に女子が占領して固まり集まる。





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