この瞳だけを見て
茉侑が係の仕事を終えて自分の席に戻ろうとすると、女子達が集まって応援している異様な光景を目の当たりにする。
「えっ何?何ごと⁉︎」
自分の席に座れず諦めた茉侑は、入場門前へ歩いて向かうと関谷が係をしていたので、すかさず茉侑は関谷に「ねぇ‼︎」と声をかける。
「富沢じゃん、どうしたの?」
「自分の席が占領されてて…借り物競走に誰か出てたって?」
「小田の代わりに智哉が出てるんだよ」
「小西くんが⁉︎あぁ…だからね〜」
呆れ顔の茉侑は溜息をつきながら、運動場の方を眺める。
✳︎ ✳︎ ✳︎
借り物競走が始まり、渡された紙にはお題が書かれていて、お題に沿った道具や物を運動場から見つけたりと一つ一つクリアをしていく。
【最終課題】と書かれた紙を開いた小西は、その課題を見て今までフル稼働していた思考が一度停止した。
「どうしよう…」
運動場を走り、自分の席があるところまで戻り、周りを見渡し、自分を応援する声が聞こえる中、必死に誰かを探す。
「もしかして…」