この瞳だけを見て
頭が真っ白で戸惑う私に小西くんから優しく抱きしめられて、どうするべきかが分からない。
自然と両手を小西くんの腰に回した。
祐奈の意外な反応に気付いた小西は、祐奈の耳元であははといつもの笑い声が聞こえた。
人生で最大の衝撃が起こった瞬間だった。
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体育祭はフィナーレを迎えた。
校舎に戻っていく人の流れに逆らうように、1人のクラスメイトがデジカメを片手に持ち
「みんなで写真撮ろうよ‼︎」
クラスで写真撮影をすることになり、4列ぐらいに並び始める。
「原さん、こっち来てよ‼︎」
小西くんが私をニコニコした笑顔で手招きするものだから、クラスメイトが私に視線が集まる。
腕を引かれ、前列のしゃがむ位置で隣に並ぶと、照れてしまう祐奈を横目で見て
「なーに、今更照れてんの」
ボソッと一言呟き、自然と肩抱き寄せる小西に驚きつつ、カメラを見て笑顔でピースをすると、シャッターボタンが押された。
祐奈はカメラのほんの一瞬光ったフラッシュで、両目を瞑ってしまった。