この瞳だけを見て




頭が真っ白で戸惑う私に小西くんから優しく抱きしめられて、どうするべきかが分からない。


自然と両手を小西くんの腰に回した。


祐奈の意外な反応に気付いた小西は、祐奈の耳元であははといつもの笑い声が聞こえた。


人生で最大の衝撃が起こった瞬間だった。



✳︎ ✳︎ ✳︎



体育祭はフィナーレを迎えた。


校舎に戻っていく人の流れに逆らうように、1人のクラスメイトがデジカメを片手に持ち



「みんなで写真撮ろうよ‼︎」



クラスで写真撮影をすることになり、4列ぐらいに並び始める。



「原さん、こっち来てよ‼︎」



小西くんが私をニコニコした笑顔で手招きするものだから、クラスメイトが私に視線が集まる。


腕を引かれ、前列のしゃがむ位置で隣に並ぶと、照れてしまう祐奈を横目で見て



「なーに、今更照れてんの」



ボソッと一言呟き、自然と肩抱き寄せる小西に驚きつつ、カメラを見て笑顔でピースをすると、シャッターボタンが押された。


祐奈はカメラのほんの一瞬光ったフラッシュで、両目を瞑ってしまった。





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