この瞳だけを見て
EP:004 嫉妬した⁉︎文化祭
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《 2022年 7年後の現在 》
春風が通り過ぎ、目を開けると小西が顔を覗き込むように祐奈の様子を伺っていた。
「どうした?」
「あぁ、いや何でもない」
「そ?行こっか‼︎」
会話をしながら自然に手を繋いで歩き出す。
いつになく表情が硬い祐奈を見て、ニヤニヤしながら
「なに、緊張してるの⁇」
小西に聞かれ、「ううん、違うよ」と首を振った。
「そろそろ慣れて下さいよ〜」
「だから違うって‼︎」
「そんな可愛い祐奈は俺のもの♪」
自然と笑みが溢れ、いつもの明るい雰囲気になった。
「さっきまでぼーっとしてたでしょ?祐奈らしくないね」
「考え事してたの」
「考え事?何考えてたの?」
「考え事っていうより思い出に浸ってた。初めて智哉と出会った頃とか」
「もう6年ぐらい経つよね」
春風とともに、時の流れを感じる。