この瞳だけを見て




教室に帰ってくると、祐奈は真っ先に小西くんに駆け寄る。



「おかえり、買い出しありがとう‼︎」と言われ、頭ポンポンされる。


そして祐奈が持ってきたちょっと重いビニール袋を何も言わずにサッと持ってくれた。


一緒に帰ってきた関谷が思い出したかのように、小西に話しかけた。



「あっ、ビニールの中にアイス入ってるよ‼︎」


「アイスは経費から落ちないよ?」



ビニールの中に手を入れると、バニラ味のカップアイスが入っていた。



「馬鹿⁉︎俺の奢りだよ‼︎」



関谷は笑ってそう言い、茉侑がいる調理係の輪に入って行った。



「うん…ありがとう」



好きなバニラ味のアイスを関谷から貰い、嬉しい反面、いつになくちょっと複雑な心境で小西はアイスに手をつけた。





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