この瞳だけを見て




式が終わり、家に帰ると母親はキッチンで夕食を作っている最中だった。



「ただいま。ねぇお母さん、入学式の時に騒いでなかった?」


「騒いでなんかないわよ‼︎たまたま茉侑ちゃんママと隣の席になって。そしたら目の前を超イケメンが真ん中の通路を歩いて行ったのよ‼︎」


「えっ…⁉︎」


「いたでしょ?イケメンが‼︎」


「いや、私は分からなかったけど」


「何で分からないかね〜」



どうやら母親は娘の私ではなく、イケメンを見つけに来ていたのか⁇


そして茉侑ちゃんのお母さま方とざわついたという話を聞いて、「はいはい」とか「へぇー」と受け流し、内心呆れながら自分の部屋へと向かった。



この時母親の言う『超イケメン』とは誰だったのかは、後々判明する事に。





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