この瞳だけを見て




ある日の授業と授業の間休みに、移動教室の為に必要な教科書類と筆記用具を持って教室を出る。


2、3人の友人と楽しく話しながら廊下を歩く男子生徒がいて、彼らが通った後必ず他クラスの女子達は後ろを振り返り、一目見ようと視線を注いだ。


彼の名は小西智哉(こにしともや)17歳


特別意識することはなかったけど、『笑顔が可愛い』と女子の中で話題に上がっている事が何度かあって


ワンコ系⁇男子ってあんな感じなんだろうなと、私もそう思っているうちの1人ではあった。


同じクラスではあるけど、席も遠いし話した事はなかった。


そんな彼を見て、冷静になって自分と比較してみると、顔も平均でこれといった特徴もない。背も高くも低くもない。クラスでも至って地味な分類に属している。


人気者の彼とは、これからもずっと接点もなく関わることもないだろうとこの時までは思っていた。




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