この瞳だけを見て
何枚か撮り終えると「撮ったよ、見てみて!」と祐奈は笑顔で小西に駆け寄り、写真を見せた。
「祐奈は撮らなくていいの?」
「私はいいの、自分より人を撮るのが好きだから、それよりお店の中に入ろうよ‼︎」
再び祐奈は小西の手を取り、カフェの中に入っていった。
ケーキショーケースには何種類ものケーキがあり、どれも美味しそうで目移りしてしまう。
「決まった?」
「うん、じゃあマスカットのタルトケーキとカフェラテ‼︎」
「分かった。先に席取っててくれる?」
小西に言われ、窓際の席を取って座っていると、ケーキとコーヒーをトレーに乗せて持ってきてくれた。
「お待たせ‼︎」
わーい‼︎とパチパチ拍手をして小西くんを迎えた。
「何頼んだの?」
「俺が選んだのはモンブラン、ケーキの中で1番好きなんだ」
「へぇ‼︎私はタルトケーキが好きなんだけど、中でもマスカットだと最高‼︎」
「マスカットも美味しいよね」