この瞳だけを見て




自らしたはずなのに照れて、「さっ帰ろうよ‼︎」と小西の手首を掴み連れ出そうとすると、逆に引っ張られて正面に立たされる。



「そんなんでいいの?」って結局濃厚なのされて見事に昇天した。



✳︎ ✳︎ ✳︎



帰り際に、駅前でじゃあねと手を振ると、「祐奈‼︎ 今度から10分遅刻してきてね」と言われ、「うん」と答えて改札口を通過した。



小西は家に帰るとすぐさま自分の部屋に入り、椅子に座る。


一息ついた頃、祐奈に撮られた写真を見ながらヘッドホンをして音楽を聞く。そして今日を振り返り始める。







改札口の前で祐奈を見送っていると、前を向いて歩いていた祐奈が後ろを振り返って俺に手を振る。



「バイバイ智哉‼︎」



ん?と、まず自分の耳を疑った。


あんだけ俺の下の名前を呼ぶのが恥ずかしいとか言っていたのに、笑顔で手を振っているのがもう健気すぎて…





そのエピソードもだし、携帯の写真フォルダーにある祐奈の写真を見ながら、1人思い出しながらニヤニヤする小西だった。





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