この瞳だけを見て




2人並んで帰りながら智哉はふと思った事を口にする。


「毎年手渡しだったのになんで靴箱なの?」


「1.2年はクラス一緒だったからすぐに渡せたけど、クラスが違うと渡すタイミングが分からなくて、高校生活最後のバレンタインでしょ?だからまぁ一度やってみたかったのもある。ごめんね、最後の最後に手渡しじゃなくて」


「なるほどね」



祐奈は隣にいる智哉のリュックがいつもよりパンパンになっているのに気付く。



「私の他にチョコもらったの?」


「あぁうん」



智哉は隠す事なくリュックを前下がりに背負い、チャックを開けて中身を出していく。



「手渡しで貰ったのと何個かは靴箱に入ってた。あっでも全部が全部女子からじゃないんだよね」


「えっどういうこと?」


「中に入ってた手紙の字が男子なんだよね。名前書いてないなぁ…」



同性からもモテるとは、恐るべし…





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