この瞳だけを見て
《 2018年 4年前 高校3年生の冬 》
桜の蕾が膨らみ始め、春らしさが感じられる3月の上旬、卒業式当日。
家を出た瞬間に青く澄んだ空を見上げて、目を閉じて暖かな日差しを玄関の前で浴びる。
朝、家を出る時に祐奈の母親がある事を思い出した。
「入学式にいた『超イケメン』今日もいるかしら…」
「よく覚えてるね」
「当然でしょ⁉︎茉侑ちゃんママもそう言ってたから私の目は確かよ‼︎」
その自信はどこから来るんだか…
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卒業式の体育館にあるパイプ椅子に座って斜め前に座る茉侑に話しかける。
「ねぇ茉侑、入学式にお母さんが言って『超イケメン』って誰だと思う?」
「あぁ、なんかそんなこと言ってたね、懐かしい〜笑」
「誰なんだろう…田渕?今田?野崎?」
「あ〜無くはないね、でも意外とそっち系じゃなかったりして」
「うちらのお母さんの好きな好みが分からん」
「なんか知りたくないなぁ…」
そんなこんなで卒業式が始まりました。