この瞳だけを見て
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飲み会が終わり、お店の外に出たところでこれからどうやって帰るかの話になる。
「私、地下鉄方面です」とか「バスで帰る人いますか?」とか、同じ方向の人を誘って帰ろうとする。
すると大内くんが祐奈に話しかける。
「原さんはどう帰るんですか?」
「そうですね…南波の方なんですけど」
「僕も同じ方向だから自宅まで送ろうか⁉︎住所教えてよ‼︎」
サークルの人達は誰もが祐奈を家まで送ろうとした。
見兼ねた智哉は一度咳払いをして、話を遮るように
「あっ忘れてた‼︎先生が原さんのレポートがまだ出てないって言ってたよ」
咄嗟に智哉は嘘をついた。
「あ〜すっかり忘れてた‼︎まだ先生大学いるかな⁉︎一度大学戻らないと…」
「俺大学に自転車取りに行くから一緒に行こうか‼︎」
これに口裏を合わせた祐奈と一緒にその場を去った。