この瞳だけを見て



✳︎ ✳︎ ✳︎



暫く歩いて皆から離れると、智哉は急に立ち止まって祐奈に向き直った。



「ビックリした〜‼︎」


「どうしてさっき僕の手を握ったの?」


「手がそこにあったから。どうして?嫌だったの?」


「そうじゃなくて。僕が最初に握るつもりだったのに…」


「握り返したくせに…。あの場で堂々と言っても良かったんだけどなー。何事もタイミングが大事なのよ⁇男女の仲は特にね」


「男女の仲⁇」


「そうよ⁉︎どれだけタイミングが重要なのか知らないんでしょ」


「皆の前で息が止まるほど僕をビックリさせて追い詰めたくせに!」


「分かった、分かったから‼︎」


「もう遅いし、俺の家に行こう」



そんなやり取りをした後、二人は目を合わせて微笑み、手を握って智哉の自宅へ向かった。





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