この瞳だけを見て
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暫く歩いて皆から離れると、智哉は急に立ち止まって祐奈に向き直った。
「ビックリした〜‼︎」
「どうしてさっき僕の手を握ったの?」
「手がそこにあったから。どうして?嫌だったの?」
「そうじゃなくて。僕が最初に握るつもりだったのに…」
「握り返したくせに…。あの場で堂々と言っても良かったんだけどなー。何事もタイミングが大事なのよ⁇男女の仲は特にね」
「男女の仲⁇」
「そうよ⁉︎どれだけタイミングが重要なのか知らないんでしょ」
「皆の前で息が止まるほど僕をビックリさせて追い詰めたくせに!」
「分かった、分かったから‼︎」
「もう遅いし、俺の家に行こう」
そんなやり取りをした後、二人は目を合わせて微笑み、手を握って智哉の自宅へ向かった。