溺愛は嬉しいですが、自立させていただけませんか?
「ほんと、律すごい愛情だなぁ。」

そう言って、自宅に帰る俺、佐伯悠斗。シーンとした部屋にぐちゃぐちゃのだ流し台と、洗濯物が散らばったフローリング。
妹と二人暮らしの俺。どちらも、家事が致命的に出来ないので、妹が勝手に家事代行サービスを頼んだらしいのだが。肝心の妹が今日は用事で友達の家に泊まるとか、本当に面倒くさい。

律とは中学からの友人で、一番仲がいい、親友と呼べる存在だが、伊月さんサイコパスという点だけは、理解できなかった。
彼女は彼の好意に気づいているのだろうか?
親友の恋なので応援はしたいが、律のやり方は溺愛しすぎて、逆に彼女を傷つけてしまっているのではないだろうか?
あまり詮索すると、律に何をされるのか分からないので、伊月さんとはあまり関わらないでおこう。

《ピンポーン》

インターフォンが鳴る。俺は応答する。

「こんにちは。西川家事代行サービスでございます。佐伯様のお宅でしょうか?」

「はい。どうぞ。」

俺はオートロックを解除する。
女性の声だった。なんか、気まずいな。
だんだん近づいてくる足音。

《キンコーン》

と、二回目のインターフォンの音。
俺は扉を開ける。するとそこには––––

「こんにちは。西川家事代行サービスの伊月愛紗と申します。本日は佐伯様の家事代行をさせていただきます!実は私、このお仕事が初めてで、ご迷惑をおかけすることもあるとは思いますが、ご容赦ください!」

「…え?伊月さん?」

「…?あ、律くんと一緒にいる…佐伯悠斗さん!?」

どうしよう。世界で、宇宙で一番関わりたくなかった人が、今俺の家に!?
律にバレたらどうなることか!

ここから、俺たちの運命の歯車が回り出す。
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