君の笑顔に涙する

 外へとでると、空はもう暗くなっていた。

 「おー! きれー!」

 そう、楽しそうな声で言う凛の視線は、上へと注がれていた。
 釣られて、僕も上へと視線を向ける。すると、暗い空に、星が広がっていて。

 「ねえ、有」
 「ん?」
 「今度は私、プラネタリウム見たい!」

 そう笑って言った凛に、僕は苦笑いをこぼす。
 そして、「じゃあ、明日見に行こうか」なんて笑って言った。

 すると、凛は「じゃあ明日、十時に駅ね!」なんて嬉しそうに言う。

 そんな凛に見とれていると、「あ! バス来てるよ! 走ろう!」と言って、凛は走りだした。信号のない横断へ、跳ねるように渡る凛に、僕は笑みが零れる。

 しかし、僕の視界に、一枚の写真を突き出されたように、一瞬の光景が瞳に映る。

 横断歩道を渡る凛と、その横に黒色の車。そんな光景に、僕は目を丸くするしかなくて。

 「凛!!」

 今まで、出した事ないような大きな声。しかし、その声は、凛には届かず。

 僕の耳に届いたのは、彼女の笑い声ではなく、車のブレーキ音。

 そしてまた、僕の視界に一枚の写真が突き出される。
 車線をはみ出している車と、道路に倒れている凛の姿が。


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